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岸和田

"だんじり祭"

  予想を越えた迫力に圧倒されました。台風接近の報で、天候が不安でしたが、幸い大き な崩れもなく、駐車場から歩きながら、祭りの朝の街の様子を見ました。 街は祭り一 色でした。かく家々の玄関には大きな祭り提灯が飾られ、すでに、だんじりが道路に引 き出されてました。中の浜町のだんじりでした。

 早速、そばに寄って、だんじりの 構造を見ました。だんじりそのものは全体が堅牢なガッチした構造になっていました。 木製の幅の厚いの車輪は、安定性があり、方向転回がうまくできるのではないかなと感 じました。高崎の山車の様な前輪が動いて方向を変えるのではなく、多勢のひき手の人 力で滑らせて廻わすので、一層迫力が出るのですね。

 また、だんじりの繊細な彫刻には驚きました。現物を見る前までは、土台の側面に平 面的に彫刻されているものと思ってましたが、そうではなく、人、馬 そして樹木のひ とつひとつが立体的に彫刻されて、だんじりの床の全面に配置されているもので、芸術 性の高い素晴らしいものでした。破風屋根の周囲の彫刻も見事なものでした。

 実際に、曳行されただんじりを見て、曳き綱が非常に長く、曳き手も何と300人以 上いるのかと思われるほどの大人数にはびっくりしました。中学、高校生から、二十歳 代の若い人達が目立ち、全員がお揃いの支度で、大きな声を出して綱を持つ姿には感動し ました。

 だんじり祭りの祭り衣裳を見ても、だんじりの性格がよくわかります。身体全身をぴ ったりと包んだ上下の服と、服にマッチした地下足袋はまことに活動的なものでした。 その人達が合図の囃子にあわせて、一斉に駆けだすと勢いのついただんじりは、あたか も敵陣へ乗り込む騎馬集団のごとく目の前を駆け抜けて行くのは勇壮な眺めでした。

 これも現場でなければ見られない場面ですが、交差点では、反対方向からくる別のだ んじりが通過するのを待つ場合があります。その待つ間でも、だんじりの後部の梶とり の人達は電信柱のような梶棒をしっかりと抱えて、いつ号令が掛かってもいいように真 剣な顔をしていたのが、いまでも強く印象に残ってます。真剣な顔が素晴らしかった。 だんじりの前のブレーキ棒とこの後ろの梶棒の操作が"やりまわし"の上手、下手を決め るのでしょうね。しかし、下手をすればだんじりが家の軒先や電柱にぶつかってしまう でしょうから、真剣にならざるを得ないのかもしれませんね。

 しかし、立派だなぁと感じました。全員が声を出し、だれひとりダラダラしている様 子もなく、統制の執れた行動を目の前で見みて、感心しました。各町の休憩所の天幕も大 きく、そこに並ぶ机や椅子の多さをみても、規模の大きさがわかりました。だんじりを 出すにはかなりの費用がかかるのが想像できます。もうひとつ、各町の祭りの参加者が 中学、高校生も多く、青年層が中心で運営されてる様子は驚きでした。高崎の山車祭り には中学、高校生は殆ど参加してないので、伝統の違いがあるのも事実ですが反省させ られました。

 だんじりは、われわれ関東人が持つ山車や屋台のイメージとは全く違ったもので、山 車と云うよりは"走る御輿(みこし)"と表現したくなりました。笛,太鼓や鉦は単調な 調べで、交差点の手前まではゆっくりのリズムですが、号令が出るやいなや突撃ラッパ のように速いテンポになって、それに合わせて、綱を持った全員が一斉に駆け出し、だ んじりは戦車のごとく突進し、交差点を勢いを付けて曲がります。屋根の上の大工方( だいくがた)呼ばれる青年が、両手にうちわを持って跳びはねるさまに観客から大きな 拍手と歓声が出ます。この"やりまわし" と呼ばれる危険なことをするのが、だんじり 祭りなのだそうです。

だんじり祭りの"やりまわし"の情景を撮った動画をご覧下さい。

動画像の上にマウスを乗せると、画像の上部に表示される3個の□ の左端をクリックしますと、画像の入り、切りができます。

 大工方の勇気も大したものです。観客はハラハラしながら皆、興奮してました。 カンカン場(岸和田港の、昔、船荷の集積場所だったとのことで、道幅が広く、観覧席 が設けられいる)で見ているときに、救急車が来ました。目の前に止まった救急車に、 頭の後部を押さえた祭り衣装の青年が乗りましたが、自分で歩いていたので大したこと はなかったと思いますが、小生の場所からは見えなかったのですが、その前のやりまわ しのときに、観覧席で悲鳴のようなざわめきがあったので、そのときに落車したのでし ょうね。頭を打ったようですから心配です。

 車は交差点では速度を落とすのが一般常識ですが、その逆をして如何に速く、スムー スに交差点を曲がれるかの腕比べに、普通の祭りにはない面白さがあって人気になって るのでしょう。残念したが、見学時間は午後3時半迄でしたので、夜の提灯を点灯した だんじりは見られませんでしたし、短時間の観光では見てないことが沢山あったでしょ うから、是非また機会を作って、岸和田へお邪魔したいと思ってます。関東方面からも 何台も観光バスが来てました。翌朝のテレビ報道は、14日のだんじりの人出が30万人の 新記録と伝えてました。台風もだんじりの勢いに驚いて?か、九州南端の海上に停止し てしまったので、ときどき小雨が降るかと思うと、晴れ間も出て、風もなくお祭りには 丁度好い天気でした。

 

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