「棒締め」
とは、何だろう。
その説明の前に、亀崎の山車の構造の中で、山車の足廻り周辺部分の仕組みを紹介し
ます。
山車は、祭りが終わると収納するために、完全に分解されます。
祭り期間中など、組み立てられた山車を暫時、保管するだけの建物がサヤです。
分解された組み物や彫刻類、幕などを保管するのが山車蔵です。サヤ単独でなく、
サヤと山車蔵が一緒の建物になってますのが、サヤ倉です。
上の写真は、
山車の土台の部分です。山車の組み物の中で、一番大きいのは"台輪(だいりん)
です。両側の板は、厚み約16センチ(5.5寸)、幅が約54センチ(18寸)、長さ約
390センチ(13尺)の檜の角材です(半田市商工観光課資料より)。
その内側に車輪"ごま"が固定されます。車輪を台輪の内側に取り付けるのは、外側に
取り付けた場合より、山車がずらし易くなるからだそうです。
"ごま"は、丸太を
輪切りにして作るのですが、今では適した材木の国内調達が難しくなって、輸入材を
使うそうです。"ごま"の保管中の乾燥を防ぐ為に、山車蔵の中か、海辺に作った水槽の
塩水に"ごま"を浸けて、保管するのだそうです。(この部分は、亀崎山車保存会 事務
局長 間瀬勝也氏 談)
梶棒は、全長が三間半、約6.3メートル(半田市商工観光
課資料)。麻縄の締め綱で、台輪の両側板に固定されます。山車の前後に突き出た梶棒
、梶方が操作して山車の進行方向を調節するのです。台輪の両側板の前後の端の4ヶ所
で、梶棒を台輪にしっかり縛り付けることを、「棒締め」と、呼んでます。
これ
は、山車の運行には大事な梶棒を確実に設置し、山車の安全巡行、祭りの盛況を祈念す
る梶方衆の気概を、祭りに集う人達に示す絶好の機会になっているのではないかと、私
には思えました。からくり人形技芸奉納と同様に、山車運行の大切な催事として、祭り
の両日、一回づつ「棒締め」が行われるのだそうです。
下の写真は、棒締めの綱
を台輪の穴に通しているところです。通した綱を梶方の数人の人達が、音頭取りの掛け
声に続いて、一斉に声を合わせて綱を強く曳き締めます。2、3度、綱をグイグイと引
っ張って留めます。そしたら又、写真の様に綱を台輪の穴に通して、大幕の中のお囃子
衆の囃子に合わせるように、又、声を合わせて綱を強く曳き締めます。これを何度も繰
り返して仕上げます。
波止場の船荷役の雰囲気にも似たところがあるのかなぁ、
と思ったのは私の個人の感想ですが、なかなか情緒がありました。下の写真をクリック
しますと、西組花王車の、尾張三社での棒締めの様子が、その時の録音でお聞きになれ
ます。RealAudio 60秒 118KB。
亀崎
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