上組は、平成14年下仁田諏訪神社秋季例大祭・山車巡行の札番が第弐番で、来年は当番町です。構造は、川越や高崎などと同じ山車形式で、明治から大正期に造られた囃子台に唐破風屋根が設けられた二層鉾台形式で、中段の勾欄と欄間、上段の勾欄と三味線胴の形態、そして鉾台と人形は上下の迫り上がり可能で、山車構造形式は典型的な江戸鉾台型の山車です。 これは下仁田の山車の全てに共通することですが、足回りは、前後各二輪の四輪式で、両端に前輪が取り付けられた前車軸は、車台と "すべり軸受け" 構造になっているので、前車軸と一体の梶棒を左右に振ることで、山車の進行方向が楽に変えることができる。
江戸鉾台型山車の形式は、最初の二輪の牛曳きから人力による曳き方に変わり、三輪、四輪と足回りの構造が変わってきたが、四輪固定式で車輪を滑らせて進行方向を変える方法が、川越の山車などでは今でも採用されている。京都の山鉾を始め、秩父の屋台や笠鉾など各地の山車屋台の大半は、この四輪固定式です。
祭りの曳きものの醍醐味は、方向転換に際しての梶取り衆の見事な手さばきと迅速な動きであり、飛び散る汗と飛び交う気合の掛け声、そしてそれを煽る様に打ち鳴らせられる太鼓と笛・鉦のお囃子に、観衆は祭りに大きな魅力を感じるのです。その意味から、下仁田の山車の「せり」は、自由自在式の楽な梶取りの為に、ややもすると単調になってしまう山車巡行を面白く、変化をもたせるのに大変有効な所作になっていると、「せり」を初めて見聞して思いました。これを考えついた下仁田の皆さんに敬意を表します。
緻密で精巧な龍の彫刻の鬼板と懸魚を載せた重厚な唐破風屋根は、昇り龍、降り龍の彫刻が巻き付く二本の向拝柱に支えられてます。下鉾台の大幕は見事な唐獅子の刺繍が施されて、人形の鏡獅子を一層、引立てている。上組の人形の鏡獅子の拡大画像です。