「庵屋台の重の中で、三味線と横笛、太鼓の囃子に合わせて庵唄が歌われます。進行中や休憩中に演奏する『まわりあい』という間奏曲と『休囃子』があります。庵唄が盛んになってきた文化・文政年間(1804〜30)、加賀藩は、流行している琴や三味線の取り締まりを強化していましたが、文政9(1826)年に緩和しています。また、庵唄のほとんどが『江戸端唄』です。記録によれば、文政年間から江戸端唄が庵唄に取り入れられたようです。それまで京都へ運ばれていた絹の売れ行きが不振で、文政10(1827)年に新しく江戸に販路を開拓したことも江戸端唄が盛んになった一因であります」
城端曳山祭を盛り立てる城端の街並み |
城端の街の中心道路は、祭り当日の朝、管理者が城端駅を出て、最初に出会った曳き山の出丸町から、城端庁舎のある南の方向に真っ直ぐ延びる国道304号線です。ゆとりある幅の車道に両端の歩道も広く、遠く雪の残る五箇山の山並が望める素晴らしい眺めは、忘れていた開放感をおぼえ、ほっとして気持ちで暫し立ち尽くしました。 そして、ほっとした落ち着いた気分にさせてくれるのは、道路左右のすっきりした家並みの眺望も素晴らしかったからです。
西下町より南方向を望む
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国道の歩道・車道は放置自転車などなく、綺麗に清掃されていて、道路両側はどれも新築間もない家々ばかりです。その街並みの落ち着きを醸して出しているのは、立ち並ぶ建物が新しいからだけではなく、元の城端の古い街並みがそうであったのかも知れませんが、切り妻屋根(棟を頂点としてふたつの傾斜面が合わさって三角形をつくる屋根の形)に統一して、高さも揃えて壁面は白色系にして、会社商店は道路にはみ出す突き出し看板は控え、正面壁面の屋号などの看板文字は、大きさも抑えケバケバしくなく、街並みをやわらかく 大工町より北方向を望む |
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落ち着いた風景、眺めになるように工夫していることが感じ取れました。丁度、新築工事中の家が一軒ありましたが、完成している隣の家と同じ高さで、同じ切妻屋根でした。都市中心街の建物の高さが揃っていることで有名なフランス・パリなどにも、街の景観をよくするための建物規制があるから、と聞いてますが、規制のあるなし関係なく、そうしたほうが好いとの合意で、一般の民家や会社・商店だけでなく、道路に面して建つ銀行や郵便局も切妻屋根を採用して、街の景観に重店を置いた設計郵便局 |
をしていることに感心しました。 城端庁舎の隣に南砺市城端伝統芸能会館(略称、じょうはなざ座)という多目的ホールがあります。神輿のお旅所はこの会館の中に設置されてます。城端のメイン通りの家並、街並みに興味を覚えた管理者は、じょうはな座の受付に行って、国道拡張時の町造りの様子がどのようなものであったかを質問しました。対応に出て来てくれた男性の管理者の方から、概要次ぎのようなお話を聞きました。 城端第一銀行
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丁度、20年前位に、城端中心通りの国道拡幅の議論が始まった。行政側の企画指導をもとに、各町、各班ごとに沿線の住民、商店・会社官庁の話し合いが頻繁にもたれ、城端の街造り、そして町全体の活性化をどう実現するかを相談した。 道路沿線から撤収を希望するひと達、逆に沿線に出たい人達などの調整など、難しい交渉事が多く、それだけでも10年近く要したとのこと。街造りの基本方針に添う形の商店舗の設計から、かなりの細かい部分までも協議の対象になったそうです。 クリーニング屋さん
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家造り、店作りをめいめいが好き勝手な設計で行ってしまうと、目指す街造りを駄目にしてしまうので、根気ある話し合いが必要だったことでしょう。それが見事実現できたのは、行政と沿道の住民の皆さんの努力があったからと思います。商店は人目に付く様に、壁面一杯に大きな看板を掲げ、店先に商品を置いたり、原色の目立つ旗指物をあっちこっち掲げるのが一般的ですが、城端の中心街の商店街では見当りません。 飲食店さん |
平成16年に城端町を含めて八つの町村の合併で誕生した人口6万人の南砺市。その一地区となった城端は、町当時の人口は一万人ほどだったそうですから、街中に大規模な量販店も見当らず、地元に密着した店々が活動できている状況が却って幸いして、城端らしい景観を保った街づくりが可能であったのかも知れません。掲載致しました商店の画像をご覧になって、お感じなられたと思いますが、個々の店の外観が瀟洒で、品があります。 雑貨店さん
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午後7時、提灯山となった6基の庵屋台と山車(やま)は、出丸町から国道を南へ巡行を開始しました。道筋で「所望」に応えて流れる庵唄の歌声と暗闇の中に揺れる提灯の灯、照明に浮かび出された御神像の姿、紋付袴の町の人たち、すべてが優雅な雰囲気を醸し出しておりました。先祖代々今に至る迄、城端の皆さんが大切に、天塩に掛けて護り育てた来た曳山祭り、これぞ「城端曳山祭」の真髄、真骨頂を観た思いで、帰路に就きました。 酒屋さん(この店で缶ビールを買いました笑)
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