小鹿神社例大祭の小鹿野春まつりは、毎年4月の12日と13日に行われます。この小鹿野春まつり見聞録は13日だけの祭り観覧で、しかも夕方から夜の小鹿神社での曳き揃えは観ておりません。
春まつり初日の12日午前、春日町、上町、新原、腰之根の四町内の役人(やくびと)が町内毎に揃いの祭り衣装で小鹿神社に参拝してお祓いを受けた後、神社旧本殿に出向き、参拝する「宮参り」で始まります。午後から四基の屋台・笠鉾の町中曳行が夕方まで行われます。
12日午後6時から春まつりならではの大きな楽しみの屋台芝居が行われます。上町、春日町両屋台は、屋台本体の舞台の左右に張出舞台が展開できます。張出舞台は右側に唐破風造りの本芸座、左側に切破風造りの仮芸座がのります。
祭礼曳きもの研究家の作美氏が平成14年の春まつりの初日に撮られた上町屋台の歌舞伎上演の画像を送信して来られましたので、ここに掲載させて頂きます。
作美氏は「演目は「神霊矢口之渡」です。神霊矢口之渡は、平賀源内が秩父の大滝村中津に滞在していた折に書き上げたもので、近年、秩父地方の地芝居でよく上演されています。春日町屋台では歌舞伎は行われませんでした。町会の人達によるカラオケや踊りが披露されました」と、知らせて下さいました。
小鹿野町は、「小鹿野歌舞伎」の言葉が定着してしっまたほど、彩の国さいたまを代表する「町じゅうが役者の町」「歌舞伎のまち・おがの」なのです。県指定無形民俗文化財「小鹿野歌舞伎芝居」の小鹿野町内には、常設舞台が六ヶ所あり、その外、掛け舞台や上町、春日町の両屋台も加わって、それぞれの地元の神社の祭りに地元の氏子が中心になって歌舞伎が演じられてます。
県内はもとより、東京、名古屋などで地域文化交流を目指した歌舞伎公演が行われておるそうです。もともと歌舞伎の盛んな土地柄であるので、芸事への関心が町民全体にあって、春まつりで小鹿神社と元宮の曳き揃いと各町の会所の前で、10分か15分程度の舞台踊りを奉納所作として行う「曳き踊り」の伝統が、今でも硬く守られておることは、祭り好きの者にとっては大感激なのです。秩父の皆さんに聞かれたら、叱られてしまうかもしれませんが、秩父夜祭より小鹿野春祭りの方が華やかだと思うのですが・・・。
今回の訪問で観られなかった初日の「宮参り」「屋台歌舞伎芝居」、二日目の夜の「曳き揃い」を次ぎの機会に観覧して、レポート致したいと考えております。