祭礼の山車や屋台は三輪か四輪が普通です。曳行される途中での山車・屋台の方向転換は、山車・屋台のそろぞれの構造で、いろいろなやり方があります。いずれにしろ、方向を変えることは労力を必要としますが、それが又、祭を盛り上げて、観客には面白く楽しいものです。
横須賀の祢里は2輪の大きな源氏車で曳き廻しますので、いろいろな特徴があります。古くから、荷車の土台から前方に長く延びた棒を轅(ながえ)と呼んでますが、祢里では枠(わく)と呼んでます。構造・形は殆ど同じです。2輪の祢里は小回りができます。その場で位置を動かさずに90度、180度方向が変えられます。停止の状態でも、枠をわずか左右に振ることによって、祢里自体が左右に振れて、停まっていながら、動きの動作が継続できます。山車・屋台と同じでありながら、祢里本体が常に前後左右に軽く動いていることができるので、あたかも動き廻る祭り神輿を観ているような、観客が祢里の動きにつられて、"まつりだ!まつりだ!"と叫んで踊り出したくなる誘惑を覚えるのが、面白い。
祢里の枠を操作する曳き手の皆さんは、常に枠をしっかり支えていければならない。枠の持ち手の全員が枠から手を放したら、祢里はたちまち、前か後へひっくり反ってしまいます。枠の持ち手がべた足でなく、軽くステップを踏むような動作もしてますから、左右の動きだけでなく祢里が軽く頭を前後に振るような動きも出て、祢里独特の趣があって、祢里を観ていて飽きが来ない。そのような様子は話しだけでは、なかなか伝えきれない。祢里の独特な情緒深い動きと同時に、祢里の曳き手衆がステップを踏む時の独特の掛け声、シッタ、シッタ、しちゃしちゃ、しちゃしちゃの生の声、三社祭礼囃子をビデオの動画で視聴してみよう。