栄町は平成13年寄居秋まつりの年番町です。かねて町役場からお名前をお聞きしていた栄町の祭礼親行事役の山辺則雄氏を訪問したところ、副行事役の田口須男氏を紹介下さいました。田口氏は祭礼行事に精通されており、栄町のお囃子の指導者でもあり、氏から寄居の山車について、いろいろお話をお聞かせ頂き、この見聞録のまとめに大変、役立たせて頂きました。
田口さんの案内で、栄町の山車蔵と会館を見学しました。山車蔵の2階に登ると、山車を分解して保管していた当時の収納箱が沢山ありました。今では山車は分解せずに、組立た状態で保管するのが当たり前になってます。ですから、収納箱の中は空っぽですが、蓋の裏側に明治十七年新調、栄町の墨書があります。田口さんは、今の山車は新造したのではなく、何処からか購入して手直ししたと思われる、と話してました。
明治初年頃、寄居町で大火があって、町の殆どの山車・屋台が焼失してしまって、大火のあった当時、今の山車と共通する一本柱型のタイプの山車が存在していた記録のある川越から購入したのではないか、との推察が山車研究家の間でなされております。
大火で焼失したかどうかは知らないが、栄町の箱に記載されてまう明治十七年当時の栄町の戸数は数十戸であったことから考えても、新造でなく、中古山車を買ったものであるとしか考えられないと、田口さんも話しておられました。